古いガラスの記憶#15 四角いインキ瓶・2

以前紹介したエンボス入り、またはエンボス無しの四角いインキ瓶に続いて、次はこの比較図像を。

背の低いインキ瓶も良いものだね。

ということで、このインキ瓶にいて。

いい・・・涼しい。

こちらの背の低い、四角いインキ瓶は、「ガレ場のハケ」で出たもの。どうにもあのハケは味のあるガラスが出てくる。
今では全く他人のような気がしなくなってしまった、某先生(かつて主にこのハケを使用されていた方)の趣味だろうか?
おそらく、当時はインキ瓶も色々な種類のものがあり、それだけにハケによっては当時の誰かの趣味を感じさせる一定の「偏り」が感じられることがある。
このガレ場のハケは篠崎インキの「SIMCO」とエンボスされたインキ瓶が良く出るほかに、どうも瓶の形にもこだわりが感じられるのだ。この瓶もまさにそんな感じである。

上面より。

柔らかな曇りを取り除くことは可能なのだろうか?現在の曇った状態も悪くないものの、ガラス本体のつややかな輝きも見てみたい気がする

底面より。

わりと古い時代のインキ瓶と言う事になるが、少し後の時代の四角いインキ瓶と改めて並べてみると・・・。

シンプルだが、無駄がないとも言える。

必要最小限だが、必要十分でもある、飾らない最低限の機能美。そんなものを、この四角いインキ瓶は感じさせてくれて、とにかく複雑で面倒だった日常を「いや、これで十分なんだよ?」と一息つかせてくれる、そんな美を持ったインキ瓶でもある。

では、また!

スタンプインキ瓶の見分け方

今回は、知らないと「変わったインキ瓶」と思ったままになってしまいがちな、「スタンプインキ瓶」について。
まず初めに、「スタンプインキ」についてだけど、これはその名の通り、スタンプの朱肉用のインキの瓶だ。普通のインキ瓶との用途の違いからくるデザインの違いが、スタンプインキ瓶の特徴として現れている。
まず、こちらは透明な普通のインキ瓶。

透明なコルク栓タイプ

次に、先日も記事にしたけど、月猫のスタンプインキ瓶を。

違いが分かるかな?

次に、この二つを並べてみる。

おわかりいただけただろうか?

スタンプインキ瓶の最大の特徴は、

直径のわりに背が高い

ということ。おそらく、普通のインキ瓶は直接ペン先をちょんちょんとつけても良い様に背が低い一方、スポイトで一定量のインキを吸い上げて朱肉に垂らすスタンプインキの用途では、スポイトの高さや吸出し量の確保で背を高くする必要があった為と思われる。
これを念頭に置いておけば、初めてスタンプインキ瓶が出てきた時も、「背の高い変なインキ瓶」ではなく「おそらくスタンプインキ瓶」という分類ができる。
古い瓶の世界はまだまだ分からない事ばかりだけれど、それだけに出てきた瓶が何か、ざっくりとでも分類する知識があると調べやすくなっていく。
本当に小さなポイントだけど、参考までに。

では、また!

古いガラスの記憶#14 四角いインク瓶・1

形も色も同じだけれど、実は色々と違う

今回は沢山あるインク瓶のうち、四角いインク瓶について。まず、銀化しているこちら。

こちらは銀化しており、エンボス入り。

「SIMCO」は「Sinozaki Ink Manufactur Corporation」の略称であろうか?
いや、 Manufacturingかな? 余談だが、 Manufactur(マニファクチャー)はもともとは「工場制手工業」を意味する言葉で、15世紀あたりから使われ始めた比較的古い言葉だけれど、これらインク瓶が生産されていた頃は、現在のような 「機械製大工業(Mechanical Engineering IndustryまたはGreat Industry)」は限られていたから、ほぼ主流の生産方式だったと言ってよいと思う。余談。

一方で、こちら。

こちらは銀化無し、エンボス無し。

全く印象が違う。銀化は良いとして、なぜ形は瓜二つなのにエンボスが無かったりするのだろう?金型は同じでも、無名のメーカーが出していたりしたんだろうか?全く謎がつきない。
ラベルが現存しているものが多数あれば、同じメーカー、または違うメーカー製のものがあった、などなど、色々と推しはかれるのだが、そこまでの材料が現存しているかは不明だ。
インク瓶は多くの他のガラスと同様、何も語らず静かに輝いているのみ、である。
この謎もおいおいは解いていきたいところだなぁと。

では、また!

古いガラスの記憶#13 「春山」インキ瓶?

もしかしたら墨汁の瓶かもしれない・・・

今回は底面に「春山」のエンボスのある謎のインキ瓶についてです。「謎の」というのは、もしかしたら墨汁の瓶かもしれないからなんですよね。
画像が、何か多くのインキ瓶とは違った特徴を持っている気がするのです。

インキ瓶とは少し趣が違うような?

この「春山」の瓶はほぼ表面採取です。以前、複数の人々が出入りしていたハケの崩れた土砂の上に、大雨の後に底面が露出しているのを見つけたのです。
その後もインキ瓶はしばしば掘り出し、またネットでも探しているものの、おなじような瓶を見つけられません。
インキ瓶としては内容量が多く、また大きく、ストンとした飾り気のないデザインはどこか和のわびさびが感じられ、「墨汁の瓶じゃないのかなぁ?」という疑問が消えない、そんな瓶です。

上方より。シンプルなのに何かが良い。

口も、インキ瓶より広いんですよね。
この瓶の謎も解きたいところ。

「春山」のエンボス。

この底面のエンボスも、何だかこだわりが感じられます。どうもインキとは違う思想を感じるんだよなぁ・・・。
この謎の瓶について情報をお持ちの方は、ぜひ教えてくださいね!

では、また!

古いガラスの記憶#6 ロイドインキ瓶

古ガラスやボトルディギングの中でも、とりわけ幅広く魅力のあるカテゴリーと思われるインキ瓶。この「古いガラスの記憶」でのインキ瓶第一回は、「ロイドインキ瓶」とすることにしました。

側面?より。
正面より。

ロイドインキは検索したところ、色合いがやや多様で、このように濃い物から、とても薄いものまでさまざま存在しているようです。透明のもの、サイズ違いのもの(これより小さい)もあるようです。いずれ手に入れたいものですね。

上面より。オシャレなエンボスの柄と気泡、濃い色が表情豊か。
底面エンボスを横から。

底面には英語表記の「LLOYD INK」、日本語表記の「ロイドインキ」とバイリンガルに表記されています。情報も少ないんですよね。

底面を上から、気泡が良く分かる。

このロイドインキ、会社含めて年代が良く分かりません。戦前、戦中にはかかっているようですが、現在調べて分かっているのは、シールの下に「鈴木インキ」と表記されているものと「ロイドインキ」と表記されていたものがあったようです。で、鈴木インキには普通の丸いインク瓶もあり、製造元は「東京市 神田区」とあるのです。東京市が都に変わったのは1943年の事ですから、それ以前になりますね。一方で、インク消しなども販売していた「ロイド産業株式会社」はかつて長野に工場があったらしいのですが、現在は消滅しており、情報も全くありません。

化石のように残されたのは、この特徴的なデザインのものを含む幾つかのインク瓶です。記録に欠かせないインクの瓶を扱う会社の情報がほとんど残っていない、というのはなかなか皮肉な話で、一日に何度か視界に入るこのインキ瓶は「まあいいじゃないか、そんな昔の事はもう忘れたよ」と、まるで多くを語らないながらも微笑する中年の男性のような、そんな雰囲気を漂わせつつ沈黙している瓶なのです。

合同ディギング!

今日は本当にタイミングが噛み合い、何人かのビーチコーマー、ボトルディガーさんたちと合同ディギングする運びとなりました。
さて、その作戦会議の場となったのは・・・

館山市の「メラーノカフェ」さん!

看板が写ってないって?ごめん、オブジェに目が行っちゃったんだよ。

しばしばこの近くを通るし、名前も有名ではあったものの、今までなぜか行くタイミングを失していたんだ。しかし、ひとたびドアをくぐると・・・

さらに、

ガラス!!

なんてこったジョニー、「メラーノ・カフェ」は噂以上だぜ・・・。

そこに来たのはガラス好きな私と、手にあるのはこれ。

「正チャン」!!なお説明は前後して次回以降になる模様。

というわけで、何も起きないはずはなく、マスターさんの「これはすごいよ!」という言葉や、奥さんがテンション高く写真を撮ったりと、なかなか楽しい時間になってしまった。

こうして、この地域を訪れる沢山のビーチコーマーやボトルディガーを尻目に、一人で海や山を彷徨っていた私も、ついにこの店に激レアガラスを持って訪れる事になったのである。さりげなく訪れてさりげなく出るはずだったんだけどな(笑)。

しばし、ガラスの話やちょっとした歴史、野生動物の話などをして楽しく過ごしたのち、その時は始まった。

合同ボトルディギングである。

画像は流石に割愛するけど、現在私が掘っている「ガレ場のハケ」は、今までのボトルディギングのハケの概念からは大きく外れている。だから長年スルーされてきたのだが、もう一つ特徴がある。「ガレ場」と言うだけあって非常に掘りづらいのだ。メンバーには女性の方もいるので、その辺が気になっていた・・・が、

杞憂だった

ああなんというガラスの魅力。みんな一生懸命掘っていて、海外の屈強なボトルディガーも乾いた笑いを浮かべるしかない掘りっぷりだった。結局、皆さんほとんど休まずに、3時間以上掘っていた。
最後は雨が激しく降ってきて、追われるように撤収になったが、皆さんぽつりぽつりとガラスを掘り出していたし、何とこんなものを掘り出した方もいた。

もしかしたら明治時代に食い込むインク瓶である。

眼福!ハケの年代もより古くシフトして言う事なし。みんな感心して今日の合同ディギングを終えることができた・・・と思う。

ちなみに私は、掘り返した箇所の土を移動しつつ、基本的には皆さんのサポートをできる限りしていた。

画像では分かりづらいが腰より深く掘っている。海外のディガーにも負けないぜ!

それでも不思議なもので、たまーにガラス栓やら瓶が出てくる。そして、残った土をよけていたらポロッと。

ニッキ水、またお前か・・・。

なんとこのタイプのチビニッキ水が出てきた。十分すぎる成果である。こうして、今日の合同ディギングはなかなかの成果を出して終わった。参加した皆さんも楽しんでいただけたようで何よりである。どうせ一人で瓶なんて掘り切れないのだから、楽しみが共有できるという意味でも、たまにはこんなのもいいね。

あと、お土産下さった方、ありがとうございました!

・・・おまけ。

良いチビニッキ水である。

では、また!