古いガラスの記憶#9 コバルトブルーの瓶

一番の推し瓶にして、アイコンやら名前やらにも使っている「コバルト」色の瓶について。

光に関わると、コバルトの瓶は何とも言えない青い光を跳ね返すことがある。

コバルト・・・色であり元素であり、漢字で書くと 「鈷」 である。元素で言うなら原始番号は27。その語源は、ファンタジーにしばしば出てくる妖精「コボルト」であり、かつて精錬できなかったこの金属は、妖精コボルトが人間を困らせるために魔法をかけた、使い物にならない金属だったとされるところかららしい。

そんなコバルトをケイ酸コバルトとしてガラスに用いると、このよう魅惑的な「コバルトブルー」が発色する。有毒なケイ酸コバルトを用いてまで作った瓶の目的は、内容物(主に高価な薬品)の日光からの保護であり、安価な茶色の瓶ではなくコバルトガラスを用いた点には、見ただけでそれが高級なもので、かつ取り扱いに注意を要するというわかりやすい喚起の目的があったと思われる。

今ではほとんど見られないコバルトガラスは、時の流れを無視した存在感を持っている。

そう、コバルトブルーとは、抗しがたい魅力の色であると同時に、注意喚起の色であり、また猛毒を扱う手間をかけたからこそ現れる、まこと奥深い色なのだ。人もまた、経験を積んで歳を取っていけばかくありたい、という私の理想の人物像に近いものを感じる。すなわち、ぱっと見魅力がある。しかし簡単には見通せない深さがあり、苦楽織り交ぜた経験により必要なだけの毒もある・・・と。

最大限光を通して撮影しても、静かな深いブルーが佇むだけ。

古いガラスを探す上で、良いハケの例えなどにも使われる「ニッキ、ペロペロ、金平糖」だが、私はこれにコバルトガラスをひっそり付け加えている。私のTwitterのアカウントなどはcobalt_hunterであり、本来はコバルト色のガラスを第一目標として、いつもガラスを探したり掘っているのだ。 ・・・まあ、なかなか希少で滅多に出てこないのだけれど。

太陽に透かすと、そこにあるのは別の世界の入り口だ。光さす異世界である。

動画を撮りながらハケを掘っていると、毎度何がしかの希少なガラスと出会える。それはそれでとても嬉しいのだけれど、コバルトブルーのガラスに出会える事は滅多になく、「さて、コバルトのガラスはどこだろうね?」という微妙な蓄積が心に積もり、探索の日々は長く続いていく事が多い。
その一方で、帰ってきてから机に置いてあるこの瓶を見やると、「まあ、こんなもんでいいか」と、妙に納得した気持になれる。

そんな説得力のある、実に奥深い色をした瓶なのだ。

では、また。